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2008年05月12日
2.いわし漁-その1-
この項は長いので、その1とその2に。
以下祖母の日記。
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次の出来ごとは、私に物心がつき、その貧しさを私の身で
受けとめるようになってからの、忘れることが出来ない一つの出来事である。
肌をさすような港の冬も過ぎて、春も半ばになると、村は鰮(いわし)漁で
湧き立ってくるのだった。其の前に鰮漁について、説明しておかなければ
ならない。
その当時の鰮漁といえば今とは全く異なっていて、四角に編んだ網を海に
投げ入れ、その網の目に鰮の頭をつっこませて捕る「さし網み」という
漁法であった。その網は、巾三m丈四mほどもあったろうか、
まむし糸(木綿)で編んだもので、その網を海中に入れ、その網をまた
引きあげて鰮をとるという方法である。
古めかしい漁法ではあるが其の当時の伊根の漁村にとっては、
この鰮の収入が一年の上半期(三・四・五・六・七・八月)の生活を支える
大きな収入になったのである。
随って(したがって)この網を一かわ(一流)つくるのに資金も相当かゝり、
そうたやすく購入出来るものではなかった。
漁にでたら、普通一回の漁にこの網を五かわ、時にはもう少し多く海に
投げ入れた。漁師はこれを置くと言っていた。
鰮のよくとれる時期などは、全部の網にしっかりと鰮がかゝり、網を舟に
引き上げると鰮の重みで舟が半分位も沈み、時には舟、人ともに
沈むという危険なこともあって、一かわニかわ海に切り捨てゝ帰ることも
あった。
舟が鰮を積んで帰ってくると、今度はこの網の目にかゝった鰮を一匹一匹
はずさなければならない。これがまた大変な仕事で、その為隣近所の人は
早く済んだ家から家へと手伝って歩くのが、この当時の道義的な
ならわしであった。
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その2に続く。
投稿者 Taniguchi : 2008年05月12日 16:48